016 グラディス・ナイト

『グラディス・ナイト』
それは中学生のわたしにかけられた、魔法の呪文。

当時手に入れた、60-70年代ビルボードチャートの
コンピレーションアルバムの中に、その曲はありました。
『夜汽車よ、ジョージアへ(Midnight Train to Georgia)』
 
英語の歌詞はよくわからなかったけど
サウンドから感じた、ビターな大人の世界。
その遠い憧れが、先生のひとことによって
突然こころの真ん中に呼び戻されました。

先生はすぐに候補曲の音源を聴かせてくれます。
選んだ曲は『Hero(Wind Beneath My Wings)』
近しい人への感謝の思いを歌った曲で
結婚式などでも演奏されるということでした。

わたしはといえば、先生の言葉もうわの空。
その歌の表現力のすごさに圧倒されていました。
果てしなく高い高い山を見上げながら、
これは長い道のりになると確信しました。

事実、わたしは転居のためやむを得ずレッスンを
やめるまでの約9ヶ月間、この偉大な曲への
『ぶつかり稽古』を続けることになったのでした。